医療で用いられる「対症療法」と「根本治療」と、予防医学の「健康増進」

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これまでの内容を読んで、整体やマッサージ、カイロプラクティック、ヨガやピラティス教室に関心を持たれる一方で、少し不安を感じた方もいるかもしれません。この記事の目的は、「理解を深め」「自分で判断して選択する」ための情報提供です。そのために知っておきたいのが、医療の基本アプローチである「対症療法」と「根本治療」、そして予防医学での「健康増進」の概念です。これらの概念を理解することで、医療と予防医学の全体像が見えてきます。

医療で用いられる「対症療法」と「根本治療」

  • 「対症療法」は、医師が日常的に行う治療のひとつで、患者が訴える症状を速やかに緩和・管理することが目的です。例えば、風邪の症状に対する解熱剤や、痛みに対する鎮痛薬などの処方がこれに当たります。また、抗生物質も、文脈によっては対処療法として使われることがあります。たとえば、免疫力が著しく低下している患者が再発しやすい感染症にかかった場合、抗生物質を使用して一時的に症状を抑える場合があります。このようなケースでは、原因に働きかける根本的な解決を目指すというよりも、再発する症状をその場でコントロールする目的で使われ、対処療法的な位置づけになります。

  • 「根本治療」は、医師の重要な役割のひとつです。感染症に対する抗生物質の使用は、原因となる細菌自体を排除し、感染を根本的に治療する目的で用いられるため、本来は根本治療として扱われます。さらに、手術による骨折の治療や、腫瘍の除去術など、病気の根本的な原因に直接働きかける方法です。

  • 両者の関係性として、「対症療法」と「根本治療」は、互いに排他的なものではなく、多くの場合は組み合わせて行われます。例えば、痛みを抑える「対症療法」を行いながら、同時に原因を特定し根本的な治療を進めるといったアプローチが医療では一般的です。重要なのは、単に症状を抑えるだけでなく、その原因に対処することで長期的な回復を目指すことです。ただし、疾患の進行速度や患者の全身状態によっては、対症療法を優先せざるを得ないケースもあります。医療では、患者の状態や疾患の性質に応じて、適切なバランスで対症療法と根本治療を組み合わせることが求められます。

保健指導

「保健指導」は、対症療法や根本治療といった医療行為と、予防医学における健康増進の間に位置する活動と考えられます。

具体的には以下のように位置づけられます:

  1. 医療(対症療法・根本治療):病気や症状が発生した際に、診療や治療を通じて症状を緩和し、原因に働きかけることを目的としています。医療保険が適用されます。

  2. 保健指導:保健指導は予防医学に基づき、生活習慣の改善や病気予防のために、医師や保健師がアドバイスやサポートを提供します。生活習慣病のリスクが高い人に対して早期介入を行いますが、これは医療機関の中で実施されますが、厳密には医療行為ではないため、 医療保険は適用されません

  3. 予防医学(健康増進):病気が発生する前に健康を増進させ、病気のリスクを下げることが目的です。日常的な健康管理や体力向上、生活習慣の改善が含まれます。これは医療機関内で実施されることはなく、医療行為でもないため、保険適用外です。

保健指導の位置づけ

医師や保健師が行う生活指導(保健指導)は予防医学に基づき、生活習慣の改善や病気予防のための指導・サポートを行うものです。一般的には医療機関で実施されますが、保険適用はありません。たとえば、生活習慣病のリスクが高い人に向けた早期介入や、健康診断結果に基づくリスク管理などが保健指導に該当します。

主に以下のように分類されます:

  • 健康増進(予防医学):生活習慣を改善し、病気を防ぐために、食事や運動、睡眠、ストレス管理を指導します。この取り組みは、包括的な生活習慣病の予防につながります。

  • 疾病予防(予防的医療):高血圧や糖尿病などのリスクが高い人に対して、症状が悪化しないように早期発見やリスク管理の指導を行います。具体的には、食事や運動の見直し、禁煙・減酒の指導、ストレス管理が含まれ、健康診断の結果に基づいて行われます。この予防の特徴は、医師や保健師などの専門家が関わり、治療の必要性をすぐに見つけることができる点です。専門家の支援により早期介入が可能になり、病気の進行を防ぐ効果が期待されます。

予防医学で用いられる「健康増進」

  • 健康増進は、病気予防を目的とした予防医学の一環であり、保険診療には該当しないため、医療機関の中で行われることはほとんどありませんが、最近は、一部の医療機関では自費診療として健康増進プログラムを提供している場合もあります。健康運動指導士やトレーナーが在籍する「健康センター」などの名称であることが多いです。当院のメディカルトレーニングもこの健康増進に該当し、病気予防のために免疫力向上や体力増進を支援する取り組みです。

まとめ

このように、「対処療法」「根本治療」「保健指導」「健康増進」は、それぞれの目的やアプローチの違いに基づいて、以下のように区別されます。

  • 対処療法(医療)…症状を一時的に緩和するための治療

  • 根本治療(医療)…病気の原因に働きかけ、長期的な治癒を目指す治療

  • 保健指導(医療と予防医学の間)…健康増進と疾病予防のための生活習慣、食事・運動・睡眠・ストレス管理の指導

  • 健康増進(予防医学)…病気の予防や健康の維持を目的とした日常的な取り組み

医師は、「対処療法」「根本治療」「保健指導」「健康増進」の全てに関与することが可能です。これらの分野を統合的に担当し、個々の健康維持・改善に貢献する役割を担っています。

健康増進(予防医学)を目的とする習い事

近年、健康増進を目的とした様々なツールやプログラムが存在し、多くの人々に利用されています。その中で、冒頭で言いましたように、例えば、いわゆる習い事やフィットネス活動を挙げるとわかりやすいでしょうか。これらを「対症療法」と「根本治療」の概念から、さらに深く理解を進めることが重要です。そして、自分にとって本当に必要なものを「自分で判断して選択する」ためには、需要と供給の視点をしっかり持ちつつ、自ら進んで選ぶことが大切です。

通うことが目的の習い事

「みんなでずっと仲良く続けようね」といったニュアンスで、その場に参加することが主な目的であり、その瞬間を共に楽しむことが真の目標となるため、卒業を目指すのではなく、通い続けること自体が目的となります。普段は会社や自宅の往復だけで、気の合う友達もいない人々にとって、習い事の場で過ごす時間が唯一の楽しみになる方は非常に多くいらっしゃいます。そんなひとときが、心の安らぎをもたらす素晴らしい時間となることでしょう。多種多様な人間が共存する現代社会において、こうした場の存在は非常に重要な役割を果たしています。つまり、こういった種類の活動に参加する際は、根本からの改善を期待してはいけません。なぜなら、この活動は治療や卒業を目的としていないからです。それは、良い悪いの話ではなく、対処的なアプローチとして捉えるべきことなのです。

卒業することが目的の習い事

一方で初日から卒業を狙うような根本的なアプローチをご紹介します。当院で提供するメディカルサービスはこちらに該当します。自分自身の体と心への理解を深め、健全な自己判断能力を高めて、今日一日の生活を選択するといった生き方を推奨しています。なぜこのような哲学を推奨するかと言うと、1つは当然、健康を増進させることで、様々な疾病の予防を最大化することが目的だからです。

また、圧倒的な健康体の方々は、その外見においてもキラッキラと輝いて見えるかもしれません。これが自然美だったり、自然体という表現でなされる所以です。当院のメディカルトレーニングは、社会で活躍する重要なポジションを担う方々に特にご利用いただいています。

社会における重要なポジションがイメージつきにくい方は、冷静に一度自分の環境を見つめ直してみましょう。少なくとも、家庭という小さな社会の中で、重要なポジションの一員ではないでしょうか。

引用元:

https://answers.ten-navi.com/dictionary/cat04/1361/

https://oncology-assist.jp/patient/comic/028.php?certification=1

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