整体やカイロ:施術に関する注意点

こちらのブログでは、ご質問が多い「整体やカイロにいってもいいですか?」について回答いたします。

→答えはたった1つ。

「信頼出来る、経験豊富な良い治療家の先生を見つけてください」です。

整形外科専門医とは

医師国家試験に合格し「一般整形外科医」として7年間の専門研修を受けた後、難関である専門医試験に合格した医師を指します。つまり、一般的な診療医や一般整形外科医から質問を受けます。診療医指導や患者のセカンドオピニオンを提供する立場にあることを意味します。

当院院長は研修医指導医の資格も有します。

この前提を基に、重要な見解を共有いたします。

実際の訴訟事例

50代男性の五十肩に対し、裁判で「強引である」と認定された施術法により骨折が発生したケースをご紹介します。当時私は、専門医としてこの患者の手術を担当しました。

幸い良好な回復結果が得られました。退院後、しばらくして当該患者が行った整体院に対する訴訟にまで関与することになりました。

これは手術を担当した医師として避けられないことでした。

内容

患者は長時間にわたるパソコン作業を行うデスクワーカーでした。その時間は1日最長20時間に及ぶこともあり、過重労働や疲弊仕切っている状態が日常にありました。

こういったケースは治療院の先生方も十分に気をつけられます。これが冒頭で挙げた「信頼出来る、経験豊富な良い先生」という表現に含まれます。

患者はある日、肩関節が固まり、手を上に上げられない状態になっていることに気が付きました。そこで近所の整体院を受診し、しばらく通う事に。どういったやりとりかは分かりませんが、結果としてある日の力強い施術によって骨折をきたしました。

経過

その手術を私が担当しました。術後経過は非常に良好で、リハビリにも熱心に取り組み、順調に回復されました。そのうち、ぽつぽつと本音を漏らすようになりました。

「実は、前々からあの整体院で治療を受けた近所の人が、怪我をすることが続いている」

「自分が何とかしないといけないのか」と。

最終的に、訴訟になったと聞かされました。

役割

私の役割は裁判で医学的な証言を行うことにとどまります。

最終的には、「強引であった」と判定され、患者が勝訴した形となりました。いずれにせよ、すべての関係者が気を揉んだ時間だったことでしょう。

展望

さてここで、私たちは発展を望みます。

最近はあらゆる分野の治療家がいます。断言できるのは先生たちは日進月歩、研鑽を積まれています。治療による副作用やましてや怪我の併発を望む治療家は、この世にいないと思います。

それではなぜ、このようなトラブルケースが絶えないのでしょうか。

国内の体制

それは一重に、共同研究の不足と私は思います。

長期間の施術が関節や筋肉に及ぼす影響を証明するには、長い年月と膨大な労力、さらに莫大な費用をかけた医学研究が必要です。

莫大な費用がかかる割に、研究者にとって利益はほとんど見込めない状況にあるため、こうした研究は今後も、日本国内では実施される可能性は低いでしょう。

アメリカでは「当たり前に」できた私の研究は、日本国内では「前例がないからできない」と、実現できずじまいでした。

私は大規模な研究を諦めた研究医の一人でもあります。

連携なしに実現できない理想

本来なら、海外のように医療類似行為と医療は連携しなければなりません。

私は2004年から望んでいますが、その兆しはまだありません。今後の可能性もまだ感じられない状況です。

スタンフォード大学PM&Rスポーツ診療部では、私の理想とする連携システムが、「当たり前」に存在していました。

連携とは具体的に、例えば、整体や鍼灸・針灸が医師の指示箋に従って提供されることから始まります。各治療家は、検査結果に基づき、安心して施術を提供できます。

そして定期的にフィードバックを互いに共有し、共に学び合う姿勢とその環境が必須です。

「世界のオモシロ医学」では、世界の連携をご紹介しています。

国内ではどうすべき?

施術に伴う影響は時に深刻な場合があります。

しかしながら現在の日本国内には、上記で挙げたような連携システムはありません。

では、「ない状況」において、私たちができることはなんでしょうか。

それは、信頼出来る、経験豊富な良い先生や専門家のアドバイスを受けることです。そして、何よりも大切なのが、クライエント個々が自分の身体を容易に明け渡さず真摯に向き合い続ける姿勢が重要であることは言うまでもありません。

最後に

各人が、このテーマを我が事のように、深く考えることは、自分自身の健康管理の一環として非常に有意義と考えます。

自己理解を深める上でも大いに価値があると感じています。

少し難しい内容でしたが要は、「自分を大切に」ということでした。

以下、引用表示

整体施術に関する注意点

1.整体施術によるトラブル事例

国民生活センターのホームページでは、整体やマッサージによる健康被害の事例が報告されています。例えば:

  • 施術後に腰痛や足のしびれが悪化

  • 頚椎の施術後に頚椎捻挫を負った

  • マッサージ後に歩行困難になった

これらの事例から、施術には潜在的なリスクがあることがわかります。

他にも国民生活センターでは、整体やマッサージなどの手技による医業類似行為に関する様々なトラブル事例が報告されています。以下に、いくつかの代表的な事例を紹介します:

  1. 腰部・臀部への施術によるトラブル:
    整体マッサージで腰を痛めたという事例が多く報告されています。例えば、施術中に腰椎を強く押されたことで、翌日から左足に強い痺れを感じ、歩行困難になったケースがあります。

  2. 首への施術によるトラブル:
    首に対する施術で神経や脊髄の損傷が報告されています。特に、頚椎に対する急激な回転伸展操作(スラスト法)は危険性が高いとされています。

  3. 胸部・背部への施術によるトラブル:
    胸部や背部の施術による骨折の報告が多くあります。特に、肋骨を骨折したり、ひびが入ったりするケースが多く見られます。

  4. 神経・脊髄の損傷:
    施術後に神経や脊髄の損傷が発生したという報告が最も多く、全体の21.6%を占めています。

  5. 骨折:
    施術による骨折の報告も多く、全体の9.6%を占めています。

  6. 擦過傷・挫傷・打撲傷:
    施術による軽度の外傷も報告されており、全体の9.5%を占めています。

  7. 長期的な影響:
    施術後、1カ月以上の治療を要したケースが18.1%あり、長期的な影響を及ぼす可能性があることが示唆されています。

これらの事例から、整体やマッサージなどの施術を受ける際には十分な注意が必要であることがわかります。施術を受ける前に、施術者の資格や経験、施術方法などについて十分に確認し、自身の体調や既往歴を考慮することが重要です。また、施術後に異常を感じた場合は、速やかに医療機関を受診することが推奨されています。

2.頚椎へのスラスト法の危険性

厚生労働省は、頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法について、以下のように警告しています:

「とりわけ頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること。」この通達は、スラスト法の危険性を明確に指摘しています。

3.日本整形外科学会の見解

日本整形外科学会の会員限定情報があり、一般の方の確認は難しいですが、不適切な施術リスクについて専門家の認識は高いです。

厚生労働省は一部の施術を禁止行為と認定

”多様な形態の医業類似行為又はこれと紛らわしい行為が見られる”

厚生労働省は一部の施術を禁止行為と認定しています。以下に重要な情報を抜粋した文章を掲載いたします。また、関連するURLも添付しておりますので、ぜひ厚生労働省のページをご確認ください。

2 いわゆるカイロプラクティック療法に対する取扱いについて

近時、カイロプラクティックと称して多様な療法を行う者が増加してきているが、カイロプラクティック療法については、従来よりその有効性や危険性が明らかでなかったため、当省に「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」のための研究会を設けて検討を行ってきたところである。今般、同研究会より別添のとおり報告書がとりまとめられたが、同報告においては、カイロプラクティック療法の医学的効果についての科学的評価は未だ定まっておらず、今後とも検討が必要であるとの認識を示す一方で、同療法による事故を未然に防止するために必要な事項を指摘している。

こうした報告内容を踏まえ、今後のカイロプラクティック療法に対する取扱いについては、以下のとおりとする。

(1) 禁忌対象疾患の認識

カイロプラクティック療法の対象とすることが適当でない疾患としては、一般には腫瘍性、出血性、感染性疾患、リュウマチ、筋萎縮性疾患、心疾患等とされているが、このほか徒手調整の手技によって症状を悪化しうる頻度の高い疾患、例えば、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、環軸椎亜脱臼、不安定脊椎、側彎症、二分脊椎症、脊椎すべり症などと明確な診断がなされているものについては、カイロプラクティック療法の対象とすることは適当ではないこと。

(2) 一部の危険な手技の禁止

カイロプラクティック療法の手技には様々なものがあり、中には危険な手技が含まれているが、とりわけ頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること。

(3) 適切な医療受療の遅延防止

長期間あるいは頻回のカイロプラクティック療法による施術によっても症状が増悪する場合はもとより、腰痛等の症状が軽減、消失しない場合には、滞在的に器質的疾患を有している可能性があるので、施術を中止して速やかに医療機関において精査を受けること。

(4) 誇大広告の規制

カイロプラクティック療法に関して行われている誇大広告、とりわけがんの治癒等医学的有効性をうたった広告については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第十二条の二第二項において準用する第七条第一項又は医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第六十九条第一項に基づく規制の対象となるものであること。

引用元:

厚生労働省「 医療類似行為に対する取り扱いについてhttps://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/061115-1a.html

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