毎朝の体操がその日を決める
骨密度は増やせない
骨密度は年齢とともに減少しますが、筋肉は年齢に関係なく増強可能であることをご存じでしょうか。
骨密度は一般的に30歳前後でピークを迎え、その後は加齢に伴い徐々に減少していきます。これは骨形成を担う機能が年齢とともに低下するために生じる、自然現象です。
これまでの高齢者が骨密度を高く維持するには、若いうちから身体活動を増やし、食事から十分なカルシウムを摂取し、喫煙をしないことなどが推奨されてきました。
筋肉は増やせる
一方で、筋肉は骨密度と異なり、年齢に関係なく増やすことが可能です。
筋肉の半減期は約3ヶ月とされており、適切なトレーニングを続ければ、加齢にかかわらず筋肉を増強し、身体機能を維持・向上させることができます。
再生能力こそは年齢とともに低下しますが、筋肉を強化することで、身体全体の健康を支える基盤を築くことが可能です。
骨密度のピーク形成の時期を過ぎた方が取り組める具体策の提案
①骨密度の減少速度を抑える具体策(保険診療)
有酸素運動と筋力トレーニングの推奨
カルシウム補給(服薬と栄養):特に閉経後の女性において、骨密度の減少を有意に遅らせます。
L-カルニチンの摂取:骨のターンオーバーを抑制し、骨密度を改善する服薬です。
ホルモン補充療法:骨密度を増加させる効果があり、特に骨形成と骨吸収のマーカーが高い女性に有効です。
メドロキシプロゲステロンの服薬:周期的な使用により、骨密度を増加させます。
骨密度測定:定期的に測定し、服薬効果を確認します。
②骨密度の減少速度を抑える生活の工夫/具体策
複合運動(有酸素運動、レジスタンス運動、バランス運動など)は、特に腰椎と大腿骨頸部の骨密度を向上させる効果があると言われています。
レジスタンス運動の効果:筋肉に外部からの抵抗を加えて筋力を鍛えるレジスタンストレーニング(Resistance Training)は、全体的な骨密度の向上に非常に効果的です。特に腰椎、大腿骨頸部、全股関節の骨密度を増加させることが示されています。
有酸素運動:全股関節の骨密度を向上させる効果があります。
特に若い女性の骨密度向上においては、エアロビクスやウェイトトレーニングが効果的であるという研究があります。一方で、レジスタンストレーニングは、高齢女性の骨密度改善に特に有効とされています。
マインドボディ運動(太極拳やヨガ、ピラティスなど)は、腰椎と大腿骨頸部の骨密度を最も効果的に向上させると言われています。EKOフィジカルはこの方法に近いとされます。
低衝撃運動(ウォーキング、階段昇降など)は、骨密度の維持には効果的ですが、骨密度の大幅な向上には限界があるとされています。
②を実施したいが、怪我はしたくない思いを大切にする
皆さんは、ジムに行ったり、30分だけの体操教室に行かれたことがあるでしょうか。私が整形外科の臨床現場で最も多く聞く主訴は、ジムや教室での怪我です。運動に慣れていない方に頻発し、落ち込んでいる姿をよく見かけました。本当はその場で適切な体操方法を教えたかったのですが、従来の医療現場ではそのような時間は全くありませんでした。私も悔しい思いをしていました。その現状を改善するために新しいアプローチを導入し、当院が始まりました。
怪我には2種類あります
1つ目は大きな衝撃による怪我です。
交通事故や大きな衝撃が加わることで、骨や筋腱が断裂し、骨折や筋腱損傷が生じます。これらのほとんどは手術が必要です。高齢女性の骨密度改善に特に有効とされているレジスタンストレーニングでは、重い重りを持つことが一般的ですので、骨折や転倒などの怪我の予防が必須になります。
2つ目の怪我の種類は「障害」と呼ばれるものです。
長期間にわたり微細な負担がかかり続けることで、腱鞘炎などの症状が生じます。しつこい痛みや治りにくい慢性的な症状として知られており、元気に活動したい方にとっては長く続く不快な悩みとなります。 精神的にはまだ 光と活動したいが、体には少しずつ体性変化がでている30- 50代に最も多いとされます。
運動が続けられないのには訳がある
「健康を保つために運動はしたいが、痛みが原因で運動が継続できない」
「運動したくても体が重く感じたり、痛みが生じるのではないかという不安から運動が遠ざかる」
こういったお声を頻繁に聞きます。
普段行う運動が健康に直結することは、頭で理解できていても、体が爽快感を感じられなければ続かないのも無理はありません。
容易に続くための工夫が大切
嫌いな運動を、「1日を快適にするもの」の印象に変われば、習慣化しやすくなります。
エコフィジカルでを進める上での方針
怪我をしないために最も重要なことは、個々の身体の特性に合わせた運動を選ぶことです。
多くのスポーツ指導者は人を、体操や競技に合わせさせようとするかもしれません。これが怪我が多い理由です。日本人プロ選手の引退年齢が世界で最も低い理由もここにあるのかもしれません。
本来、スポーツはその人が持つ体の特性を活かし、自然で無駄のない動きを引き出すことで競技力も向上するのです。なので、人に合わせることが大前提となります。
これが本質的な怪我の予防法です。
毎朝の体操で、年齢に応じ、可能な限り関節可動域を最大に保つ
可動域が広がると、適切な緊張が保たれ、筋肉の収縮が良好に行われます。
毎朝の体操で、可能な限りホルモンを分泌させる
筋肉から分泌される骨格筋由来のホルモンはマイオカインと呼ばれ、皮膚を作るコラーゲン組織や、内臓の働きを正常に保つ作用を持ちます。
他にも骨形成を促進させたり、インスリンの働きをよくすることから糖尿病の予防効果、さらには血圧を下げる降圧作用もあります。
いわゆるアンチエイジングや美容に自動的につながる最大の根拠です。
当院は「美容」を前面には押し出しません。誤ったイメージがあるからです。
「健康」を最も大切にした結果得られる「自然美」は、オマケとして付いてきます。