皆さんの勘違い

現代人すべてが「プラーク」を予防したいと考えているかもしれません

こちらの記事の補足にもなりますが、ここでは「批判的吟味」の概念を紹介し、情報の真偽を慎重に検討し、科学的根拠に基づいて判断する過程についてご説明します。健康関連情報を正しく評価できるよう、皆様が一歩踏み出していただければと思います。

特定の情報に過度な期待を寄せるリスクを理解するために、バナナダイエットや特定の水の効果など、具体的な事例を挙げて解説します。また、科学的な主張には慎重な表現が求められ、「可能性が示唆された」といった表現を用いることで、科学的な根拠に基づいた誠実な姿勢を示します。

当院のブログでは、科学的な正確さを重視し、読者の皆様との信頼関係を築くことを目指しています。

勘違いを見抜く力

勘違いを見抜く力を養うことは、当院のメンタル思考トレーニングプログラムでも特に重要なテーマの1つです。このプログラムを通じて、利用者様が自身の思考過程を理解し、誤解やバイアスに対処する能力を高めることを目指しています。

また、短絡的な思考で勘違いを広めてしまう人間関係についても見直すことが大切であるとお伝えしています。周囲の影響を受けやすい環境では、誤った情報が繰り返し伝えられることで、新たな誤解を招くこともあります。

信頼できる人間関係を築き、正しい情報を慎重に受け入れる姿勢が、健全な思考力を育むための第一歩です。

勘違いを防ぐ事例集

具体例1:バナナダイエットの誤解

具体例を挙げます。

一時期、バナナダイエットが流行しました。これは「A= B」と誤った形で認識され、「毎日バナナを食べたら痩せる」と多くの方が思い込む一例となりました。結果的にスーパーマーケットで買い占めが発生するほどでした。

論理的な思考が備わっていれば、このような勘違いは生まれにくいですが、普段から論理的に考える習慣がないと、こうした商法に引っかかりやすくなります。

具体例2:お水の誤解

「この水を飲めばアトピーが治るらしい」「病気が治るらしい」「痩せるらしい」「肌がきれいになるらしい」といった話を聞いたことがあるでしょう。この水が本当に効果があるなら、世界中から感染症や病気が根絶されるはずですが、現実にはそのような効果は期待できません。ただ美味しいから、と人に勧める分は全く問題ないですが、もしもそれが科学的な根拠に基づかない伝説や噂話に基づいており、そうした情報の上に購入を促すような販売が行われると、トラブルの要因になりえます。

誤解を招きやすい他の健康情報の例

健康情報の中には、誤解を招きやすいものが多く存在します。以下に典型的な例を挙げます:

  1. 特定の水の効果:「この水を飲めば病気が治る」

  2. 特定の食品の万能性:「○○を食べれば健康になれる」

  3. 簡単な解決策:「これさえすれば全ての問題が解決する」

これらの情報は、科学的根拠が不十分であることが多く、批判的に評価する必要があります。

批判的吟味

最近の科学的な根拠に基づかない伝説や噂話に基づいた、いわゆる悪徳と言えるような商法には、次のような巧妙な手口が見られます。その手法は、購入者が「勘違い」するような状況を作り出します。

  1. 「錆びた鉄に、商品(お水や飲み物など)をかけて錆が取れる様子」を映像で見せます。

  2. これを見た人は、「この飲み物が人間の体にも良い効果がある」と誤解し、購入に至ります。

ここでのポイントは、あたかも効果があるかのように勘違いする「紛らわしい」シチュエーションを作り出している点です。販売側はそのような効果を直接は言わず、表現もされていません。勘違いしたのは、あなたです、といった姿勢です。

こういった事態は「紛らわしい」とされ、景品表示法や特定商取引法、健康増進法によって取り締まられるべきですが、公に問題が発覚しない限り、取り締まりの目が届きにくいのが現状です。

「言った・言っていない」論争や「勝手に勘違いしただけ」論争に対して法令や規則が整うまでは時間がかかります。

しかし、今すぐできることは、消費者自身が批判的吟味の力を身に付けることです。これが、結局は効率的な方法です。この「批判的吟味」の視点で、「映像の意図」に気づくことが重要です。

論理的思考

「錆びた鉄に、商品(お水や飲み物など)をかけて錆が取れる様子」の映像を見て、「飲めば体内の錆や毒素が取り除かれる」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、これは科学的根拠に基づいたものではありません。

映像が示すのは次のような論理です:

  • 水をかけたら(A)、錆が取れた(B)

  • 「A=B」が成り立っている

ここから生まれる誤解は、「水を飲んだら(A)、体内の錆も取れそう(C)」という飛躍です。「A=C」という誤解が生じるわけですが、これは視聴者が勝手に勘違いしたともいえます。

証明の必要性

たとえ「A=B、B=C」が成り立っても、「A=C」を証明するには専用の研究が必要です。「錆びた鉄に飲み物をかけて錆が取れる」ことから人間の体の中で同様の効果が得られるかは、別の問題です。

証明のためには、体内に鉄の錆が溜まっている人を集め、長期的なデータを蓄積することが求められます。採血などでの定点観測を、半年後、1年後、3年後、10年後と行い、初めて結果を論じることができるのです。

そもそも体内に鉄の錆がある状態は非常に大きな問題です。もし内臓や血液中に錆が存在すれば、深刻な影響を及ぼします。こうした場面で知識があれば「そんなはずない」とカラクリに気づけるでしょう。知識がなくても「本当に効果があるのか?」と批判的に吟味する視点が必要です。

科学的根拠と批判的吟味を合わせた健康情報の見直し

例えば、こちらの記事で使われている「血管の機能を良くする可能性が示唆されました」という表現は、科学的な慎重さを保っており適切です。決して「○○をしたら絶対に血管の機能が改善する」とは述べていません。

適切な科学的表現の例

  • 血管の機能を良くする可能性がある

  • 動脈硬化の進行を抑える可能性がある

  • さらなる研究が必要である

これらの表現は、証明に至っていない現段階で用いるべき表現として、科学的な慎重さを示しています。ノーベル賞級の発見であるかのように断定するのではなく、現時点での知見を適切に伝える姿勢が大切です。

もし記事の中で「EKOフィジカルをするだけで、動脈硬化が進行抑制されます」と書いてあったとしたら、これは安易な結論にあたります。証明に至っていない現段階では「さらなる長期的な研究が必要です」といった表現が適切です。

個人的な見解として、動脈硬化予防に役立つことを願っています。健康診断を受けて、ご自身の経過を確認しながら健康を楽しんでいただきたいと思います。

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