筋肉から分泌されるホルモンを味方に付けるしかない
図.骨格筋から分泌されるマイオカインは、肝臓、膵臓、骨、循環器など多様な臓器にシグナルを送る。血管新生が上方制御される正確なメカニズムは現在も研究されている。Pedersen BK, Febbraio MA.より引用。Muscles, exercise and obesity: skeletal muscle as a secretory organ.Nat Rev Endocrinol. 2012 Apr 3; 8(8): 457 – 65.1
骨格筋から分泌されるマイオカインは、筋肉の機能を保護し、体全体の健康に多岐にわたる効果をもたらすホルモンです。特に、体重調整、インスリン感受性の改善、認知機能の向上において重要な役割を果たします。加えて、マイオカインは炎症の抑制や脂質とグルコースの代謝調整にも関与し、糖尿病や肥満の予防にも役立ちます。
運動に応じて分泌されるホルモンであり、オートクリン(自己作用:筋肉ホルモンが筋肉に作用)、パラクリン(近隣細胞作用:筋肉から分泌されるホルモンが近くの細胞に作用)、内分泌(全身作用:全身に広がる作用)として働き、体全体の健康に有益な効果をもたらします。特に、筋肉は脳、脂肪組織、骨、肝臓、腸、膵臓、血管床、皮膚など、多くの臓器に良い影響を与えています。
マイオカインの作用:
体重調整:エネルギー代謝を調整し、肥満の予防に寄与します。
インスリン感受性の向上:インスリン抵抗性を改善し、2型糖尿病の予防や治療に役立ちます。
グルコースと脂質の代謝調整:糖尿病や中性脂肪の予防に効果的です。
認知機能改善:脳の健康を保護し、認知機能を向上させます。
骨密度低下の予防:骨代謝に影響を与え、骨密度の維持に寄与します。
筋肉の保護および強化:筋肉の機能を強化し、加齢に伴う筋萎縮(サルコペニア)を防ぎます。
免疫システムの向上:免疫機能の改善にも寄与します。
加齢に伴う筋萎縮(サルコペニア)の予防:筋肉量を維持し、加齢に伴う筋肉の衰えを防ぎます。
運動との関係:
運動はマイオカインの分泌を促進し、筋肉だけでなく、脳、脂肪組織、骨、肝臓、血管などに良い影響を与えます。特に、マイオカインは抗炎症効果を持ち、心血管系や代謝、精神面の健康改善に寄与することが知られています。また、マイオカインはBDNF(脳由来神経栄養因子)の生成を促し、脳機能の改善にも関与する可能性が指摘されています。
総括:
マイオカインは、運動を通じて身体のさまざまなシステムを調整し、特に抗炎症効果や代謝異常の改善に重要な役割を果たしています。そのため、運動を通じたマイオカインの活性化は、全身の健康促進に非常に効果的なアプローチとされています。EKOフィジカルで最も大切にしているアプローチの1つです。
最近、様々な健康をテーマにした企業からこういった記事が発刊されていますので、よかったらご参照ください。ずいぶん噛み砕いてやさしく説明されていると思います。
参考記事「今注目の筋ホルモン「マイオカイン」について」